そのショッピングセンターは、地下が無い地上3階建ての建物だった。
私は車を屋上駐車場へ止め、家族4人はエレベーターで目的のフロア2Fへ降りることとなった。
チーン。
ドアが開いた。
私たち4人は、何の躊躇も無く外へ出た。
「んっ?」
そこは3Fだった。
笑いながらUターンする私たち。
馬鹿やね。
しかし、これだけでは終わらないところが、並みではない私たち。
チーン。
(着いた)と私は思った。
しかし、ある声が。
「ここ、1Fよ~。ボタン押したと?」
私を責める妻の声だった。
2Fのボタンを押さなかったから1Fまで行っちゃったじゃないの、と言うのだ。
(えっ、うそ?)と立ちすくむ私。
自信を持って断定する妻だったから、一歩も動けないまま、エレベーターのドアは閉まった。
そして、エレベーターは下がっていった・・・・・・・。
冒頭の文章を見ていただこう。
このショッピングセンターには地下は無い。
だから、1Fから下に降りるエレベーターが存在するはずは無いのである。
それなのに、確かに、私たちを乗せた箱は下がっていったのである。
こ、こ、これは、怪奇現象か?!
もちろん、答えはNO。
そう、先ほど、妻が1Fと言っていたフロアは2Fだったのである・・・・・。
ちゃんと目的の階に到達していたのだった。
目的地が2Fなのに、3Fで降りてしまい、2Fでは降りずに、1Fまで行ってしまったアホな家族がここにいたのでした。
ショッピングセンターのエレベーターですからね、もちろん乗っているのは私たちだけではありません。
ブスっとしていたおばさんも笑ってましたヨ。
ああー、はずかし。
そして、妻はというと。
もちろん、すまし顔でいましたよ。
2Fに着いていたのに「ここは1Fだ」と言い放った犯人なのにね(笑)。