※これは娘が小学生のときの話です。
娘は、焦っていた。
時間を気にしつつ、バタバタしていた。
だって、いつもは6時に起きているというのに、もう6時40分だったからだ。
家を出る時間まで、30分も無い。
早くしないと、小学校に遅刻してしまう。
急いで、自分で食パンをトースターで焼いた。
牛乳も用意する。
我が家の朝ごはんは、いつもセルフサービスだからだ。
(しかし、お兄ちゃんは、なんで朝からパソコンをしているんだろう。私はこんなにバタバタしているのに、あんなに落ち着いて、憎たらしい。お兄ちゃんは私よりも30分も後に家を出るからなあ)
娘がそんなことを思っていたかは定かではないが、とにかく、そのとき息子はパソコンをしていた。
そこに、お母さんが現れた。
そもそも、今日はお母さんが悪い。
起こしてくれないから、寝坊しちゃったんじゃない。
だから、文句を言った。
「お母さーん、なんで起こしてくれんかったとよ、遅刻してしまうやん!!」
それを聞いた妻だったが、なぜか反応が鈍い。
何のこと?ときょとんとしている。
しかし、すぐに事情を悟り、笑い出した。
娘には悪いと思いながら、大笑いした。
そして、妻は娘に言った。
「今は夕方よ、朝やないとよ」
その日、娘は疲れていたらしく、学校から帰るなり、寝てしまったのである。
かなりの熟睡だった。
それ故、起きたとき、朝と勘違いしたわけである。
ちょうど時間が12時間ずれというのも、その勘違いに拍車をかけた。
ああ、娘はこうして、晩ごはん前だというのに、食パンをしっかりと一枚食べてしまったとさ。