「帽子が無いとよ」
と妻は言った。
妻がパート先の保育園で使っている帽子のことである。
2つのうち、1つが行方不明になったという。
毎日洗濯しているので、2つ無いと困るらしい。
だから、妻は大騒ぎをした。
犯人探しをしたのである。
「確かに洗ったとよ、そして、たたんだのも覚えてるとよ」
それなのに無いのは、誰かが間違えて持っていったに違いない、と主張する。
息子にも聞いた。
娘にも聞いた。
私にも何度も聞いた。
「パンツとかと一緒にタンスに入っとらん?」
ホント、うるさいぐらい聞いてきた。
洗濯したのもたたんだのも自分なのだから、他の3人が知るはずが無いのだが、騒ぎまくる。
気になって寝れないとまで言う。
そんなこと言ってもなあ、無いものは無い。
ということで、その日は終わった。
そして、翌日。
妻の両手には帽子がぶら下がっていた。
「どこにあった?」
と私は聞いた。
妻は答えた。
「保育園。。。」
なーにが、確かに洗っただ。
たたんだのも覚えてるだ。
家を探しても見つからないはずである。
その後、妻は言ったね。
「思い込みが激しいとよ」
ハイ、確かにその通りですね。