私は方向音痴だ。
ちなみに地理音痴でもある。
そして、(当時の)我が家の車にはナビは付いていなかった。
一方妻はタクシーの運転手も立派に務まるほど、方向感覚が優れている。
上手くできた夫婦だ。
この組み合わせは唸るしかない。
というわけで、妻が人間ナビゲーターを務めることになるのだが・・・・・。
ある日のこと、電車の定期券が期限切れ寸前だったので、更新するために最寄り駅へと向かった。
毎日、通っている道だったのだが、いつもは自転車。
そして、その日は車。
通れる道が違うのである。
必然的に、妻に道を聞くことになるのだった。
途中までは順調。
何の問題も無し。
だが、まもなく駅というところで、妻はこう言ったのである。
「もう少し行ったら、
ヤマシタキヨシがあるけん、そこを左ね」
山下清?
あの画家の?
ああ、ああ、
マツモトキヨシね。