ノラカフェ2.2



佐賀県の真ん中に小さな町がある。
名前は『大町町』。
佐賀県で一番小さいけれど(たぶん)、名前は『大町町』。

私が生まれ育った町だ。
高校生までいた。
大学進学からは、すべて県外。
静岡や東京に住んだりと、転々とした。
結局、もう戻ってくることはなかった。
(帰省は、もちろんあるよ)

大町町は、昔は炭鉱で栄えて、小学校は日本一のマンモス校だったそうだ。
児童数が多すぎて、校舎だらけ。
おかげで、運動場が無くなり、運動会ができなかったほどだ。
知ってるかな?
演歌歌手の都はるみを。
当時、有名だった都はるみが、わざわざ大町小学校に来て唄ったという。

それほど栄えた大町町も炭鉱閉山と共に、人々はいなくなり、サビれた。
今では、人口1万人に満たない。

そして、泣きっ面に蜂で、その後、大洪水が3回起こる。
もちろん、町全体ではないが、国道34号線から南部の多くは浸水した。
床上浸水の家も多かった。
そして、2回目と3回目の間隔はわずかに2年。
場所によっては、軽自動車N-BOXがすっぽり隠れてしまうほど水は溢れた。
「病院が孤立」と全国ネットのニュースでも報道された。


前置きが長くなってしまった。
ここからが、本題。
たしか、この2回目と3回目の大洪水の間だったと思うけど、大町駅の近くにカフェの建設が始まったんだ。
驚いたよ。
「こんな場所に?」

駅の近くとはいえ、駅の裏通りで駅からは100メートルほど離れている。
そして、駅は無人駅なのだ。
人はあまり通らない。
若者は、ほとんど通らない。
ましてや、大水害があった場所である。

まあ、誰もが、もうしばらくは洪水は起きないだろうと思っていたけれど。
2回目は30年振りぐらいだったのだから。
それが、わずか2年後に災害はやってきた。
あのカフェは建設途中だった。
当然、工事は中止。
可愛そうだったね。
水浸しだった。
オーナーは断念するだろうと思った。
継続するとしたら、場所を変えざるを得ないだろうと思った。

しかし、オーナーは諦めなかった。
工事は再開した。
驚いたねえ。
「マジかよ」
と感嘆した。
4度目の洪水を恐れてはいなかったんだよ。

そして、めでたく完成。
カフェはオープンした。

その名は「nora café (ノラカフェ)」。
店は県道沿いにあり実家も近くだから、何度も何度も隣を通った。
しかし、私と妻は店に入ることはなかった。

なぜだろう?
まず、店のインパクトが弱かった。
魅力的に映らなかった。
そして、飲み物中心で、食事は軽食程度であろうと思い込んだ。
妻も、男の人には物足りないだろうと考え、
「あの店で食べない?」と私を誘わなかったんだね。

しかし、数年後、そう今日(日付が変わったので昨日か)。
墓参りの帰り、時間があまり無かったので「昼は近所のあそこで食べようか」ということになる。



店に入って驚いたねえ。
「なんて素敵なんだ!」
「えっ!広い!」

店の外観で損してるな、と思ったよ。
外と中のギャップが大きすぎる。
まあ、センスが良いんだ。

そして、くつろげる。
都会の店みたいにざわざわしてないからだ。
お客さんは適度に少ないし。
BGMもボリュームを極力下げている。
ジャズかな?


窓からは田んぼが見える。
ただの田舎なんだけど、この店から見ると『田園風景』という言葉が浮かんだ。
魅力的に映ったね。

店のスタッフの方も感じが良かったし。
妻は気さくに話しかけてたな。
私は後ろ向きに座ってたので、よく見なかったけど、「女の子が3人」と妻は言ってた。

あ、そうそう、広く感じたのは天井が高かったからだ。
開放感があったね。
N-BOXみたいなもんだ。

そして、店の中には、ネコがいっぱい。
もちろん、本物ではないよ。
ここに掲載している写真にも出てきてる。
オススメです。

もっと詳しく知りたい方は、『Google でのクチコミ』やインスタグラムをご覧ください。
あと、駐車場は間違えやすいです。
店の手前でもなく、砂利のところでもなく、舗装して白線が引かれている所がお店の駐車場です。
ご注意を。





By Tadahiro.K

洋楽・ONE OK ROCK・坂本龍馬・hondaが好き。 ハイレゾ音源のAmazon Musicをお気に入りのオーディオで聴きながら、 いろんなことを書いています。

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