私は顔を拭いていた。
つんつるてんのバスタオルで、濡れた顔を拭いていた。
「このバスタオルも、相当くたびれてるなあ」
などとつぶやきながら、拭いていた。
我が家のバスタオルは、古いのが多いからね、
別になんの疑問も抱かなかった。
すると、そこに妻が現れた。
そして、私を見て言った。
「な~に、雑巾で顔を拭いてるとよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私が使っていたバスタオルは、現役を引退し、雑巾として使われていたヤツだったのだ。
しかし、私はひとこと言いたかった。
タオルと雑巾を、同じ物干し竿に干してくれるなと。
