〔これは、娘が9才のときの10月の話〕
会社から帰ってくると、娘が私に向かって走ってきた。
おお、久しぶりである。
小さい頃は、帰宅した私に飛びついてきたものだったが、大きくなるにつれて絶えていたのだ。
思わずニコニコになる私。
しかし、次の言葉がいけなかった。
「お父さん、ズボンはいてね」
「はあっ?」
実は、娘の友達が泊まりに来ていたんだね。
10月とはいえ、まだまだ暑かったので、いつも私は家の中では『パンツ&シャツ姿』でいたのだ。
だから、娘は事前に阻止したというわけ。
そうよね、もう、娘も大きい。私の帰りを待ちわびているわけないよなあ。